外反母趾とは
外反母趾は、足の親指が外側に曲がる病気です。これが進行すると、親指の付け根に痛みが現れることで歩くことが難しくなります。扁平足と同時に進行することが多く、足の衝撃吸収能力が低下します。適切な治療と予防で、症状の進行を防ぐことができます。
外反母趾の症状の特徴
外反母趾は、親指が小指の方向へと曲がり、さらには付け根に痛みが起こります。変形が進むと、靴を履くときに親指が当たって痛みが増します。さらに、靴を履かない状態でも痛みが続くことがあります。早期の対処で、症状の進行を抑え、生活の質を向上させることができます。
外反母趾の原因
外反母趾は、足の構造、遺伝、靴の選び方、生活習慣など、複数の要因が重なることで発症します。また、男性よりも女性にみられることが多いのですが、これはヒールの高い靴を履くことや、関節が柔らかく筋力が弱いことが関係しています。
外反母趾になりやすい人
外反母趾は、圧倒的に女性に多く見られる病気です。筋力の低下や女性ホルモンの減少が影響しています。さらに、ヒールやパンプスなど、前足部に負担がかかる靴をはく人も要注意です。
なりやすい足の形
足の形は大きく3種類に分けられます。エジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3つです。日本人の約70%がエジプト型、25%がギリシャ型、5%がスクエア型と言われています。エジプト型は親指が一番長く、荷重時に足全体でバランスを取ろうとするため、親指の付け根に力がかかりやすく、外反母趾になりやすいです。
扁平足・開帳足
人間の足は縦と横のアーチ構造を持ち、このアーチが歩行時のバネ効果や衝撃吸収に役立っています。しかし、現代では靴を履く文化が定着し、アーチを保てない人が増えています。そのため、扁平足(縦のアーチが弱まる)や開帳足(横のアーチが弱まる)の方が多くみられます。
外反母趾になりやすい靴の特徴
外反母趾のリスクを高める靴は、ヒールが高くてつま先に余裕がない靴です。ヒールが高い靴は体重が前足部に集中し、つま先が細い靴は親指を小指側に押し付けます。これらの靴を長時間履くと、親指の靭帯が伸び、外反母趾が進行する可能性が高まります。
外反母趾の治療
外反母趾の治療には、保存療法と手術の2つがあります。保存療法としては、靴の選び方を指導するほか、足の指体操、装具の装着などがあり、親指の位置を改善するとともに痛みを改善することが目的です。症状が改善しない場合、手術が必要となることがあります。
保存療法
適した靴の選び方
外反母趾の予防や進行を抑えるために、適切な靴を選ぶことが重要です。ヒールが高くなるほどに影響が大きくなるため、低めで、足先に余裕があるものを選びましょう。目安は、指を動かせるように1~1.5cm程度の余裕が必要です。かかとと甲が固定されていることで、足が滑らなくなっている靴がよいでしょう。
靴が大きすぎると、靴の中で足が動き、歩行時に足先が靴に当たってしまうため、適切なサイズを選ぶことが大切です。
ハイヒールを履く場合は、できるだけ短時間に留め、移動時には別の靴を履くなどの対策を取りましょう。土踏まずのアーチを補強するインソールの利用も効果的です。場合によってはオーダーメイドのインソールも検討しましょう。
足の指体操
足のグーパー体操
足の指でグーとパーを作り、親指を支える母趾外転筋を鍛える方法です。母趾外転筋は、親指を外側に開くときに使う筋肉で、この筋肉の筋力が低下することが外反母趾の原因とされています。グーは全ての指を曲げ、パーは全ての指を開きます。特に親指が開くことが重要です。軽度~中等度の外反母趾であれば、進行を抑えることが可能です。
Hohmann体操
両足の踵を揃えて立ち、親指にゴムをかけることで内側に引く運動です。この方法で母趾の可動域を広げると、親指の位置の改善を促せます。
装具療法
トースプレッダーや足底挿板は、親指の位置を整えることによって症状の進行を抑えます。これにより、痛みの軽減や歩行の安定が期待できます。
手術
外反母趾が進行すると、ストレッチをしても親指の位置が戻らなくなり、痛みや歩行障害が出てきます。保存療法で改善しない場合は、手術が適応されます。手術方法はさまざまで、重症度に応じて術式を選択します。外反母趾の手術は、親指の位置を正すとともに痛みを和らげ、歩行能力を元に戻すことを目的としています。
外反母趾に痛みがない場合の治療のタイミング
外反母趾の痛みと変形の程度は比例するとは限りません。変形が軽くても痛みがある時点で治療が必要です。また、外反母趾が進行すると関節が亜脱臼し、この状態を放置するとさらに変形が進行します。